痛みがする?それ、回帰性リウマチかもしれません
「昨日は右手が痛かったのに、今日は左膝が痛い…」
「数日前はあんなに痛かったのに、今は何ともない…」
こんな不思議な症状に悩まされていませんか?
もしかすると、それは「回帰性リウマチ(かいきせいリウマチ)」かもしれません。
回帰性リウマチとは痛みが移動したり消失したりを繰り返す、特殊なタイプのリウマチです。
一般的な関節リウマチとは異なる特徴を持っています。
回帰性リウマチの3つの特徴
特徴1:痛みが移動・消失する
一般的な関節リウマチは同じ箇所がずっと痛みますが、回帰性リウマチは数時間から数日(2〜3日や4〜5日など)で痛みが消失したり、別の場所に移動したりするのが最大の特徴です。
痛みのパターン例
- 月曜日:右手首が激しく痛む
- 水曜日:右手首の痛みが消える
- 木曜日:今度は左膝が痛み始める
- 土曜日:左膝の痛みも消える
- 翌週:また別の場所が痛み始める
特徴2:痛む箇所は少ない
1箇所から、多くても2〜3箇所程度に起こります。
一般的なリウマチのように多数の関節が同時に痛むことは少ないです。
特徴3:痛みは強いが期間は短い
注意期間は短いですが、痛み自体はかなり強い傾向があります。
「すぐ治るから大丈夫」と我慢せず、適切な対処が必要です。
一般的なリウマチとの違い
| 項目 | 一般的なリウマチ | 回帰性リウマチ |
|---|---|---|
| 痛みの持続 | 同じ箇所が持続的に痛む | 数日で消失・移動する |
| 痛む箇所数 | 複数の関節(4箇所以上) | 1〜3箇所程度 |
| レントゲン | 異常が見られる | 異常なしと診断されやすい |
| 診断 | 比較的しやすい | 非常に難しい |
なぜ診断が難しいのか
レントゲンに写りにくい
一般的なリウマチのように炎症が続かないため、骨の変形や軟骨の減少が見られず、レントゲン撮影をしても異常なしとされることが多いです。
よくある診断の流れ
- 関節が痛くて病院へ行く
- レントゲンを撮る → 「異常なし」
- 数日後には痛みが消えている
- 「気のせいだったかな…」と思う
- また別の場所が痛み始める
- このパターンが繰り返される
このように、痛みが消えたり移動したりするため、医師も診断しにくいのが回帰性リウマチの特徴です。
血液検査でわかること
検査項目以下の数値が陽性や高値になることがあります:
- リウマチ因子(RF)
陽性になることがある - 炎症反応(CRP)
痛みがある時に高くなることがある
ただし、痛みが消えている時は正常値になることも多く、タイミングが重要です。
回帰性リウマチの経過と予後
2つの可能性回帰性リウマチは、以下のいずれかの経過をたどります:
パターン1:自然治癒
症状が徐々に軽くなり、最終的には完全に治まる人もいます。
パターン2:本格的な関節リウマチへ移行
徐々に症状が悪化し、一般的な関節リウマチに進行してしまう人もいます。
症状の頻度症状が出る頻度には個人差があります:
- 毎週のように繰り返す人
- 月に1〜2回程度の人
- 数ヶ月間まったく出ない人
パターンは人それぞれで、予測が難しいのも特徴です。
回帰性リウマチの対処法
痛みが強い時の対処法
基本は安静一般的なリウマチ同様、安静にすることが大切です。
- 痛む関節を使わない
- 無理な動作を避ける
- 必要に応じて冷やす(炎症が強い場合)
- 医師から処方された痛み止めを服用
痛みが引いた時の対処法
非常に重要痛みが移動したり消えたりしたタイミングで、関節をゆっくり動かすことが非常に重要です。
痛みが引いた時の関節ケア
- ゆっくりと関節を動かす(無理のない範囲で)
- 軽いストレッチを行う
- 温めて血行を促進する
- 関節が固まらないよう、適度に動かす
なぜ動かすことが重要?痛みがないからといって動かさないでいると:
- 関節が硬くなる
- 筋肉が衰える
- 次の発作時により痛みが強くなる
- 本格的なリウマチへ移行しやすくなる
痛みの「間」をうまく使うことが重要です。
こんな症状があったら受診を
受診すべき症状
- 痛みが移動する(昨日は手首、今日は膝など)
- 数日で治るが、また別の場所が痛む
- 痛みが繰り返される
- レントゲンで「異常なし」と言われたが、痛みが続く
- 痛みは強いが、数日で消える
受診時に伝えるべきこと
医師に正確に伝えるポイント
- 痛みのパターン
いつから、どの関節が、何日間痛んだか - 痛みの移動
痛む場所が変わったかどうか - 症状の頻度
どのくらいの間隔で繰り返すか - 過去の検査結果
レントゲンや血液検査の結果
メモや日記をつけておくと、診断に役立ちます。
症状記録のすすめ
記録すべき項目
| 項目 | 記録内容 |
|---|---|
| 日付 | 痛みが始まった日・終わった日 |
| 場所 | どの関節が痛んだか |
| 痛みの強さ | 10段階評価など |
| 持続期間 | 何時間・何日続いたか |
| 対処法 | 何をして楽になったか |
まとめ
回帰性リウマチは、診断が難しく、見過ごされやすい病気です。
覚えておくべきポイント
- 痛みが移動・消失するのが特徴
→ 一般的なリウマチとは異なる - レントゲンでは診断できない
→ 「異常なし」でも諦めない - 自然治癒もあるが、進行もある
→ 早期発見・早期対応が重要 - 痛みの「間」の対処が鍵
→ 痛みが引いた時に関節を動かす
今すぐできること
- 症状記録を始める
- 痛みのパターンを観察する
- 当てはまる症状があれば、記録を持って受診する
- 痛みが引いている時に、軽く関節を動かす習慣をつける
「痛みが移動する」「数日で治るが繰り返す」といった症状に心当たりがある場合は、一度病院を受診しましょう。
「気のせい」で片付けず、自分の体の声に耳を傾けることが大切です。
早期発見・早期対応が、より良い予後につながります。
