リウマチの血液検査、こういう意味だった
「血液検査の結果をもらったけど、数値の意味がよく分からない…」
「先生に聞きたいけど、忙しそうで聞きづらい…」
関節リウマチの患者さんなら、誰もが一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
今回は、リウマチに関する血液検査の見方を、項目ごとに分かりやすく解説します。
この記事で分かること
- 各検査項目が何を意味するのか
- どの数値に注目すべきか
- 異常値が出た時の意味
- 測定頻度とその理由
この記事を保存して、検査結果と照らし合わせながら読んでください。
血液検査は大きく3つのカテゴリーに分かれる
リウマチの血液検査は、主に以下の3つの目的で行われます:
- リウマチの診断・状態把握
- 炎症レベルの確認
- 薬の副作用・安全性の確認
カテゴリー1:リウマチ診断・状態把握のための項目
RF(リウマトイド因子)
RFとはリウマチの診断に使われる代表的な指標です。
基準値:15 IU/mL未満(施設により異なる)
重要な注意点
- 陽性=リウマチ確定ではない
- 陰性でもリウマチの可能性がある(約2割は陰性のタイプ
こんな時はRFが陽性になる
- 関節リウマチ
- 高齢者(加齢による変化)
- 他の自己免疫疾患
- 慢性感染症
つまり、陽性だからといって必ずしもリウマチとは限りません。
抗CCP抗体
抗CCP抗体とはリウマチの診断に非常に特異的な(リウマチ特有の)指標です。
基準値:4.5 U/mL未満(施設により異なる)
非常に重要この検査は原則として診断時に一生に1回測定される項目です。
※治療変更時など例外もあります
数値の意味
- 15以上(高値)
骨変形のリスクが高い → 積極的な治療が推奨される - 4.5〜15(中程度)
経過観察が必要 - 4.5未満(陰性)
リウマチの可能性は低いが、完全には否定できない
なぜ一生に1回?抗CCP抗体は一度陽性になると、ほとんど変動しないそうです。
治療効果の判定には使えないため、繰り返し測定する意味がないのです。
MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ-3)
MMP-3とは関節破壊の程度や、将来的な骨変形のリスクを予測するために測定されます。
基準値:36.9〜121 ng/mL(年齢・性別により異なる)
数値が高いとどうなる?
- 関節破壊が進行している可能性
- 将来的な骨変形のリスクが高い
- 治療の強化が検討される
治療効果の指標MMP-3は治療により数値が下がってくることがあります。
定期的に測定することで、治療効果を判定できる重要な指標です。
カテゴリー2:炎症レベルを確認する項目
CRP(C反応性タンパク)
CRPとは体内の炎症レベルを示す代表的な指標です。
基準値:0.3 mg/dL未満
数値の意味
| 数値 | 状態 |
|---|---|
| 0.3未満 | 正常 |
| 0.3〜1.0 | 軽度の炎症 |
| 1.0〜5.0 | 中等度の炎症 |
| 5.0以上 | 強い炎症 |
血沈(赤血球沈降速度)
血沈とはCRPと並ぶ、体内の炎症レベルを示す指標です。
基準値:男性 2〜10 mm/h、女性 3〜15 mm/h
重要な注意点CRPと血沈には、知っておくべき特徴があります:
注意点1:小さい関節の炎症は反映されにくい
手指などの小さな関節のみの炎症では、CRPや血沈が正常値のままの場合があります。
注意点2:リウマチ以外の炎症でも上昇する
- 風邪
- 鼻炎
- 歯周病
- その他の感染症
これらでも数値が上昇するため、必ずしもリウマチの悪化とは限りません。
カテゴリー3:薬の副作用・安全性を確認する項目
なぜ毎月測定?リウマチの薬は肝臓や腎臓で代謝されるため、定期確認が行われます。
安全に治療を続けるために、非常に重要な検査です。
肝機能(AST/GOT、ALT/GPT)
肝機能検査とは肝臓がダメージを受けていないかを確認する検査です。
基準値:AST 13〜33 U/L、ALT 8〜42 U/L(施設により異なる)
数値が上がる原因
- リウマチの薬の負担
- アルコール
- 肥満
- 肝臓の病気
対応が必要な目安数値が100を超えてくると、減薬などの対応が必要になることがあるそうです。
医師とよく相談しましょう。
腎機能(尿素窒素、クレアチニン)
腎機能検査とは腎臓がしっかり働いているかを確認する検査です。
基準値:
- 尿素窒素 8〜20 mg/dL
- クレアチニン 男性 0.65〜1.09 mg/dL、女性 0.46〜0.82 mg/dL
特に注意すべき数値特にクレアチニンが「1」を超えると腎臓への負担が示唆されます。
数値が低く見えても、1に近づいている場合は注意が必要です。
血算(血液の成分)
赤血球・ヘモグロビン
何を見ているか
慢性的な炎症や薬の副作用による貧血の有無を確認します。
基準値:
- 赤血球 男性 427〜570万/μL、女性 376〜500万/μL
- ヘモグロビン 男性 13.5〜17.6 g/dL、女性 11.3〜15.2 g/dL
貧血の影響
- 疲れやすい
- 息切れ
- めまい
- 集中力の低下
白血球
何を見ているか
薬の影響で白血球が増減することがあります。
基準値:3,500〜9,000 /μL
特に白血球が減少すると、感染症が重症化しやすくなるため注意が必要です。
風邪などの症状がある時は、早めに医師に相談しましょう。
血小板
何を見ているか
血を止める働きがある血小板の数を確認します。
基準値:15〜35万/μL
減少するとどうなる?
- 血が止まりにくくなる
- あざができやすい
- 鼻血が出やすい
- 歯茎から出血しやすい
検査項目一覧表
| カテゴリー | 項目 | 測定頻度 | 主な目的 |
|---|---|---|---|
| 診断・状態把握 | RF | 3ヶ月に1回 | リウマチの診断 |
| 抗CCP抗体 | 一生に1回 | 診断・予後予測 | |
| MMP-3 | 定期的 | 関節破壊の予測 | |
| 炎症レベル | CRP | 毎回 | 炎症の程度 |
| 血沈 | 毎回 | 炎症の程度 | |
| 副作用確認 | 肝機能 | 月1回 | 肝臓への負担 |
| 腎機能 | 月1回 | 腎臓への負担 | |
| 血算 | 月1回 | 貧血・感染リスク |
検査結果を見る時のポイント
チェックすべき5つのポイント
- CRPの数値
炎症が抑えられているか - MMP-3の推移
関節破壊が進んでいないか - 肝機能・腎機能
薬の副作用は出ていないか - 白血球
感染リスクは高まっていないか - ヘモグロビン
貧血は起きていないか
まとめ
血液検査の数値は、あなたの体の状態を教えてくれる重要なサインです。
覚えておきたい重要ポイント
- RF陽性=リウマチ確定ではない
総合的な判断が必要 - 抗CCP抗体は一生に1回
診断時の重要な指標 - CRPは万能ではない
小さい関節の炎症は反映されにくい - 副作用チェックは月1回
安全な治療のために必須
次回の検査結果が出たら、この記事を見返しながら、ご自身の数値をチェックしてみてください。
気になる数値があれば、遠慮せずに医師に質問しましょう。
あなたの体のことを一番よく知るために、検査結果を理解することは、とても大切な一歩です。
