関節の痛みによって日常生活に支障をきたすこともあるリウマチ。
つらい痛みを緩和させるためには、「運動した方がいい」「安静にした方がいい」どちらも耳にすることが多く、どうしたらよいのかわからなくなる方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、リウマチ患者さんには安静と運動、どちらも必要です。
そこで今回は、安静と運動の必要性や使い分け方について解説していきます。
安静と運動の必要性
関節リウマチの治療には、安静と運動どちらも必要であり、体の状態に応じて使い分けることが大切です。
炎症がひどいときに運動を取り入れると、関節に負担がかかってしまうため、痛みや腫れがひどくなる可能性があります。
しかし、痛みがあるからといって安静にしすぎていては、関節を支えている筋肉が減少したり、動かせる範囲が狭まったりすることも…。
そのため、リウマチ患者さんには症状と相談しながら、安静と運動を上手に使い分けていただく必要があります。
リウマチに必要な3つの安静とは?
リウマチ患者さんには、
- 全身の安静
- 局所の安静
- 精神の安静
という3種類の安静が必要です。
ここでは、それぞれの特徴について解説していきます。
全身の安静
全身の安静とは、睡眠時間をしっかりとって身体全体を休めるというもの。
「“しっかり”ってどれくらい?」と疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、必要な時間は人それぞれで、自分の中でベストな睡眠時間を確保していただければ◎
ただし、寝すぎてしまうと副交感神経が優位になり、逆に体がだるくなってしまうため注意が必要です。
局所の安静
局所の安静とは、膝や手首など炎症のある部位を休ませるというもの。
立ったままの作業は脚に負担がかかりやすいので、料理や食器洗いなどはできる限り座って関節を休ませるようにしましょう。
また、関節の負担を緩和させるために、サポーターや装具を着用するのもおすすめです。
精神の安静
精神の安静とは、リウマチを悪化させる要因でもあるストレスや不安などをコントロールするというもの。
仕事や人間関係、家事など、日常生活で避けられないストレスもたくさんあるかと思います。
そういった日々のストレスをため込まないために、趣味・音楽・お風呂など、自分自身がリラックスできる時間を見つけることが大切です。
精神的要因を少しでも取り除けるよう、上手にコントロールしていきましょう。
リウマチに必要な2つの運動とは?
- 関節可動域訓練
- 筋力強化訓練
という自宅でできる2つの運動を取り入れることが、筋萎縮や関節の可動域制限の防止につながります。
また、リウマチの症状が進行すると関節の変形も起こるようになるため、適度な運動で予防することが重要です。
ここでは、2つの運動方法について解説していきます。
関節可動域訓練
リウマチ患者さんは、関節を動かせる範囲が狭まってしまわないように、痛みのない範囲で手や足をゆっくり動かす必要があります。
これが関節可動域訓練というもので、できる限り毎日取り入れていただきたい運動ですが、無理をすると返ってリウマチを悪化させてしまうことになるため要注意。
急性期には関節の運動回数を少なくして、痛みのある部位を冷やすようにしましょう。
筋力強化訓練
各関節を支える筋力が衰えてしまうと、筋肉が萎縮して関節が動かなくなってしまう原因となります。
これを避けるためには、筋力の強化が必要なのですがダンベルや重りを使って鍛えるのは基本的にNG。
リウマチ患者さんは自分の腕の重さだけでも関節の負担となっているので、ダンベルでさらに負荷をかけると関節を痛めてしまうことになります。
では、どのような筋トレがおすすめなのかというと…
たとえば手のひらを合わせた状態で押し合うと、筋肉を使いながらも関節は動かさないので、負担の少ない運動ができます。
また、仰向けになった状態で、膝裏に丸めたタオルを敷いてグッと押し当てると、筋肉だけを使用する筋トレが可能に。
こういった運動を日々繰り返すことで、少しずつ筋肉がついてくるため、無理のない範囲で取り入れてみてください。
運動はどれくらいしたらよいのか?
可動域の制限や関節の変形などが心配だからといって、過度に運動をするとリウマチを悪化させてしまうということをこれまでお伝えしてきました。
それでは、どれくらいまでなら訓練してよいのでしょうか?
リウマチ患者さんにとって日々の運動が大切ではありますが、痛みを感じるようであれば回数を減らしてみてくださいね。
安静も運動も、どちらも大事
リウマチ患者さんには、安静と運動どちらも大切です。
体の状態に合わせて、今どちらが必要なのかを見極めることが重要なポイント。
患部に炎症が出ているときは安静にして、痛みの少ない日・時間帯に運動を取り入れるというように、体と相談しながら上手に使い分けていきましょう。